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レンタルサーバーにはどんな種類があるの?
Webサイトやブログを作るためには、Webサーバーを用意する必要があります。しかし、独自で構築するサーバーは、構築そのものも管理も技術的に高度な専門性が必要で、セキュリティ対策も十分に行う必要があります。
そこで利用したいのが、レンタルサーバーです。
レンタルサーバーとは、言葉の通りサーバーをレンタルするサービスのことです。
サーバーの管理はレンタルサーバー会社が行い、利用者はレンタルサーバー会社と契約することで、自分で物理的なサーバーを用意することなく、Webサイトやブログを運営できるようになります。
レンタルサーバーには、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 専用サーバー
- 共用サーバー
- VPS
これらのサーバーは、コストや機能でそれぞれ大きな違いがあります。それぞれの違いについて見ていきましょう。
VPSって何が違うの?
レンタルサーバーとは、物理的なサーバーをレンタルするサービスのことです。
レンタルサーバーの中でも、物理的なサーバーを1台まるごとレンタルするサービスを「専用サーバー」といい、1台のサーバーを複数人で共用して使うサービスを「共用サーバー」といいます。
一方、VPSはVirtual Private Serverの略語で、日本語では「仮想専用サーバー」と呼ばれます。
一つの物理的なサーバーの中に、仮想的に複数のサーバーを構築します。
VPS全体を動作させている「ホストOS」があり、その上で利用者ごとの「ゲストOS」を動作させて、各利用者に割り当てて使用します。
仮想的というと少しわかりにくいかもしれません。
一般的なパソコンやサーバーは、1つの機械に1つのOSをインストールして動作させますが、VPSでは「ホストOS」いう土台となるOSを用意して、その中で複数の「ゲストOS」を動作させます。
VPSの利用者は、複数ある「ゲストOS」上で操作を行い、ソフトウェアやサーバーの設定などを調整します。
CPUやメモリといったサーバーの資源は、各ゲストOSに対して割り当てられており、同じホストOS上で動作させている他の仮想サーバーの利用状況による影響が、少なくなっています。
このへんは、共用サーバーと大きく異なる点です。共用サーバーにおいては、同じサーバーで運営されている別のWebサイトのアクセスが集中してしまうと、他の利用者のWebサイトの表示が遅くなる、ということも起こりえます。
しかし、VPSではそのような影響は少なくなっています。
共用サーバーとVPSのイメージをイラストにしてみました。1台の物理マシンを複数の利用者で使うというのは、このようなイメージです。
共用サーバーでは、物理的なサーバーをそのまま複数の利用者に割り当てていますが、VPSでは、サーバーこそ1台ですが、その中で複数の仮想サーバーを設けて利用者に割り当てていることがわかります。
共用サーバーと専用サーバーの違い
引き続き、共用サーバーと専用サーバーの違いについて見ていきましょう。
共用サーバーとは、さきほど説明したように、1台の物理サーバーを複数の利用者と分け合って利用する形態のことでした。
一方、専用サーバーとは1台の物理サーバーをまるごと一人の利用者が独占して利用する形態のサーバーのことをいいます。
物理サーバーのリソースをまるごと使えるため、アクセスの多いWebサイト向けですが、コストが非常に高くなることが特徴です。
共用サーバー・専用サーバー・VPSの特徴
レンタルサーバーの種類別に特徴をまとめてみました。
共用サーバー
コスト:安い
難易度:低い
自由度:低い
他の利用者からの影響:多い
専用サーバー
コスト:高い
難易度:高い
自由度:高い
他の利用者からの影響:なし
VPS
コスト:普通
難易度:高い
自由度:高い
他の利用者からの影響:まれにある
レンタルサーバーの選択方法
ここから先は少し筆者の私見が入りますが、共用サーバーや専用サーバー、VPSなどいろいろある選択肢の中から自分はどのサーバーを選択すればよいか、判断の基準を紹介します。
共用サーバーを使うべき人
共用サーバーの最大のメリットは、コストの安さです。初期投資として、とにかく安価にWebサイトを構築したい人は、まず共用サーバーを検討しましょう。
共用サーバーの特徴として、他のユーザーの影響を受けると紹介しました。しかし、大手のレンタルサーバー会社の共用サーバーでしたら、そこらへんの対策がしっかりしていると思います。
例えば、極端にアクセスが多いWebサイトに対して、帯域制限を設けてトラフィック量を調整するなどです。
そのため、個人で運営しているブログや中小企業のコーポレートサイトなら、共用サーバーの利用で十分運営できるでしょう。
共用サーバーでは初めからPHPやデータベースがインストールされているため、知識や技術の低い利用者でも、WordPressの導入など簡単にWebサイトの運営ができるようになっています。
ただ、これは共用サーバーのデメリットにもつながります。
なぜなら、共用サーバーで最初からインストールされているPHPやデータベースは、サーバーにインストールされているものを使うことはできても、自分でカスタマイズをすることは難しいからです。
WordPressやEC-Cubeなどのメジャーなソフトウェアでしたら、おそらく問題なく運用できると思いますが、あまり知られていないソフトウェアを動作させようとしたとき、共用サーバーの環境では、PHPやデータベースのバージョンによっては、正常に動作させられないものもあるかもしれません。
そのような時は、別のレンタルサーバーを検討するか、必要なバージョンのPHPやデータベースを導入できる専用サーバーやVPSを使用する必要があります。
専用サーバーを使うべき人
専用サーバーは、今回紹介した中でもっともコストが高いサーバーです。その分、サーバーのリソースをフルに活用することができます。
一部上場企業のWebサイトやネットショップなど、アクセスが集中したりサーバーに高い信頼性が求められたりする場合は、専用サーバーを使うと良いでしょう。
あとは、共用サーバーではなかなか運営が認められないアダルトサイトなども、専用サーバーでなら運営が可能になるでしょう。
専用サーバーは物理サーバーをまるごと使えるため、運用するにあたり高度なサーバーの知識が求められます。特にroot権限という管理者権限が与えられるため、調整をミスしてしまうと、Webサイトが表示されなくなるここともあります。
専用サーバーを提供しているレンタルサーバー会社によっては、「マネージドプラン」を提供していることがあります。これは、セキュリティのアップデートやサーバーを24時間365日監視してくれるサービスです。
サーバーに対する知識や技術はないけど、専用サーバーの性能が必要な方は、マネージドプランを提供しているレンタルサーバーを選択するとよいでしょう。
VPSを使うべき人
VPSは、共用サーバーのコストの安さと専用サーバーの自由度の高さを併せ持った、使い勝手のよいサーバーです。VPSの利用者として、アクセスはそこまで多くないけど、自作のWebサービスを公開したい人などが想定されます。
VPSでは、OSのチューニングから、PHPやRubyそしてデータベースなど、Webサイトに必要なミドルウェア(OSとアプリの中間にあるソフト)を自由にカスタマイズできます。そのため、Webサービスの公開に必要な環境を、自分で構築できるメリットがあるのです。
しかしVPSにおいても、専用サーバーのように自分でメンテナンスをしなくてはなりません。そこで専用サーバーと同じように「マネージドプラン」を設けているVPSもあります。
必要に応じて活用するとよいでしょう。
まとめ
- レンタルサーバーには、「共用サーバー」「専用サーバー」「VPS」がある。
- 初級者には「共用サーバー」がおすすめ。
- アクセスが多いWebサイトには、「専用サーバー」がおすすめ。
- 安価にWebサービスを提供したい場合は「VPS」がおすすめ。