ゾーンでむき出しになる人間の本性

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この記事は約11分で読めます。

あなたは
自分の真の望みを、
知っていますか?

ふだん意識している
表面的な望みではなく、
もっと奥底にある望みです。

例えば、

自分は大成功して
多くの富を得たいと切に願い、
それを第一に考えて
ビジネスを実践してきた。

でも実際には
ビジネスにはあまり情熱が入らず、
気がつくといつも
時を忘れ、
無心に絵を描き
彫刻を彫っている。

あるいは、

自分は、
人付き合いが下手で
人前に立つのも苦手だ。
だから、
あまり人と接触しないで
生きていきたい。

ずっとそう思っていたのに、

実際には、何かと
みんなの前に立つことが多く
いつも人に囲まれている。

でもそれが楽しく、
生き生き活動していることに、
自分でも驚いている。

このように、
誰もが、
自分の本来の性質
本当の願望には
なかなか気づかないのかもしれません。

 

ある小国。
命がけで危険地帯に潜入して
望みを叶えようとする者たちがいた。

そこは立入禁止で
鉄条網が張り巡らされ
厳重に警備されている。

侵入しようとすれば
容赦なく
機関銃で撃ち殺される。

だが、
その警備員たちは
決して鉄条網の中に入ろうとはしない。

なぜなら、その中では
人知を超えた超常現象が起こり
命さえ奪われるからだ。

以前送り込まれた軍隊は
まるごと全滅してしまった。

軍隊のうち誰一人として
生きて帰ったものはいなかったのだ。

その場所は
「ゾーン」と呼ばれていた。

そして
その「ゾーン」の中に
どんな願いでも叶うという
秘密の「部屋」があった。

 

この「ゾーン」の話は、
旧ソ連の映画監督
アンドレイ・タルコフスキー作品である、映画「ストーカー」の世界です。

タルコフスキー監督は
当コラムの「七人の侍」
のお話のときに
黒澤明監督のファンとして登場しました

 

 
 
 
 
 
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日本でもコアなファンの多い監督で、
知る人ぞ知る人物かもしれません。

非常に美く
透明感のある
独特な映像を撮ります。

極限まで説明を省き
映像と音で語ることが多く、
「映像詩人」とも呼ばれていました。

一見、
複雑な内容の台詞もあり
よくタルコフスキー監督の作品は「難解だ」と評されます。

しかし、
黒澤監督はこう書きました。
「タルコフスキーは難解ではない。
彼の感性が鋭すぎるだけだ」

1986年に
54歳の若さでこの世を去りました。

 

映画「ストーカー」は、
危険地帯であるゾーンに進入して
どんな望みでも叶えるという
秘密の「部屋」に
命がけでたどり着こうとする
SF映画です。

ここでいうストーカーとは、
「特定の人を付け回す者」ではなく
「獲物を狙って忍び寄る者」という意味です。

そのストーカーたちの冒険を
追いかける前に・・・

WordPress(ワードプレス)の
簡単な話を一つだけ (^▽^)

(「ストーカー」の話を読みたい人は、ここまで飛ばしてください (^-^)/)

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「WordPressでよくわからないことシリーズ」です。

WordPressでよく
「ウィジェット」という言葉が出てきます。

この「ウィジェット」って、
もともと
どういう意味なんでしょうか?

サイドバーで使うウィジェットとしては、
例えば、

「サイト内検索」
「最近の投稿」
「カテゴリー」
「カレンダー」
「カスタムHTML」

などがあります。

管理画面で
ドラッグアンドドロップで
簡単に使えるようになります。

管理画面内で可能なところなら
どこでも好きなところに
配置できます。

さて
「ウィジェット」の
元々の言葉の意味は、

「小さな機械装置」とか
「小さな部品やちょっとした機能を持ったプログラム」
ということです。

WordPressでは、
直接は後者の意味ですね。

WordPress全体から見た
「ウィジェット」の立ち位置を表すとすれば、

「テーマ(テンプレート)」が
デザインや機能の大枠を決めるのに対して、

「ウィジェット」が
その中で動く
細かい表示・動作を担当する、
というイメージでしょうか。

「ウィジェット」は
細かい部品をたくさん使えるWordPressには、なくてはならない存在です。

詳しくはこちらをご覧ください

-------------------------------

さて、「ストーカー」です。

危険地帯「ゾーン」とは、
地球上にありながら
未知の場所です。

あるとき、
隕石が落ちたか
宇宙人が来訪したか、
何かが起こって、

そこにあった村が消滅し
多くの人々がいなくなりました。

政府は
そこを「ゾーン」と呼んで
立ち入り禁止にし、
厳重な警備体制を敷きました。

「ゾーン」では、
想像を超えた
超常現象が起こると言われ、

「乾燥室」や「肉挽き機」
と呼ばれる不気味な場所では
何人もの人間が
命を落としてきました。

その「ゾーン」の中に
人間の望みを叶える「部屋」がある
という噂が立ちました。

すると、
自分の切なる願いを叶えるために
その「部屋」へ入りたいという者が現れます。

それら希望者を案内して
ゾーンに連れて行き、
報酬を得る者たち
それが「ストーカー」なのです。

しかし、
ストーカーも依頼者も
いつ警備隊に見つかって
撃ち殺されるかわかりません。

そして、
ゾーンに進入できたとしても
いつ超常現象で命を落とすか
わからないのです。

 

この物語では、
登場人物の名前が出ません。

「ストーカー」
「教授」
「作家」

彼らの職業名というか
ニックネームだけが存在します。

まるで
寓話の登場人物のようです。

この3人が
危険を顧みず
ゾーンに進入します。

互いに本名を名乗らず、
互いの正体を知りません。

この
信頼感の薄い人間関係が
緊張感を生み、
疑心暗鬼を生み、
ぶつかり合い、
お互いの腹の中を
探り合うことになります。

 

ゾーンは人間がいないため
非常に静かです。

風の音、
水の音、
森の音。

そして鳥の声が
遠くに聞こえます。

超常現象が起こるとは思えないほどの、美しい、静寂と幽玄の世界です。

風、森、靄、雨
無人の廃墟
焦げた戦車の残骸
水中に沈む鏡や拳銃
白骨化した誰かの遺体。

全てが、
朽ち果てるまま放置され
草木が生い茂っています。

 

ゾーンでは、
以前通れた道を
次も通れるとは限りません。

状況は常に変化していて
今まで安全だった場所が
いつの間にか罠に変わり、
人を混乱に陥れる。

まるで
自然や社会の象徴です。

直線で行けば
目的地まで200メートルで着くのに、
進める道は
まっすぐではありません。

直進するのが、
かえって危険なこともあるのです。

だから、
あえて迂回して進みます。

布を結びつけたナットを投げ、
何事もなく落ちた方向を
3人は歩いていきます。

ストーカーが進路を決め、
依頼者を先に歩かせます。

おそらく、
何か起こったときに
状況を見て指示を出せるのでしょう。

しかし
勝手に進行方向を決め
危険に満ちた場所へ
自分たち素人を先に行かせる。

そうしたストーカーのやり方に、
作家は次第に反感を持ち始め、
時には逆らい始めます。

ストーカーは
「従わないのなら
料金を返すから帰りましょう」
そう言います。

作家も教授も、
仕方なくストーカーに従います。

 

 
 
 
 
 
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「乾燥室」と呼ばれる
轟音を立てて水が流れ出る場所。

「肉挽き機」と呼ばれる
朽ち果てた不気味なトンネル。

これらの場所では
何人もの人間が
命を落としたといいます。

慎重に少しずつ
3人は進んでいきます。

 

道中、
ストーカーと教授が
かつていた先輩ストーカーの
不思議な話をします。

「ジカブラス(ヤマアラシ)」
という名の人物です。

ジカブラスは
ゾーンに詳しい先輩ストーカー
であり、今のストーカーも
その人物から
いろいろ教えてもらったと言います。

あるときジカブラスは
不幸なことに、
「肉挽き機」で弟を失ってしまいます。

そしてその後、
ジカブラスは
秘密の「部屋」に入り
亡くなった弟を蘇らせてほしいと願います。

後日
ゾーンから帰ったジカブラスに、
変化が起こりました。

彼は突如として、
大金持ちになったのです。

しかし
亡くなった弟は戻って来ません。

ジカブラスは
その一週間後に
自殺しました。

彼は弟の復活を願ったのに
彼が得たのは
莫大な札束だった。

ジカブラスは
おそらく
彼の奥底にある願望を
ゾーンの「部屋」に突きつけられた。

自分の本性を見たのです。

そしてジカブラスは
打ちのめされたのです。

 

やがて、
ストーカー、作家、教授の3人は
奇跡的にも
「部屋」の前に到着します。

ストーカーによると
何事もなくここまで来れるのは
珍しいことのようです。

しかし、
「部屋」の前で
作家と教授は
驚くべき行動に出ます。

作家は、
「部屋」には入らない
と言い出します。

俺は中に入らんぞ。
自分の醜い本性など見たくないし
他人にも見せたくない。
首を吊りたくもない。

ジカブラスの話もあって
怖気づいたのか、
彼は「部屋」に入ることを頑なに拒みます。

一方、教授は
バッグから金属の筒を出して
組み立て始めます。

何とそれは
研究室から盗み出してきた
20キロトンの爆弾だというのです。

この爆弾で、
秘密の部屋を爆破するのだ
教授はそう言います。

ここにはやがて
大勢の人間が詰め掛ける。

そしていつか、
政治家や悪人などに、
悪い目的のために利用されるかも知れない。

そうなったら、
世界は改悪されてしまう。

だから、
その前にこの部屋を消し去るんだ。

驚いたストーカーは
教授から爆弾を奪おうとして
揉み合いになります。

作家がそれを止めようと
割って入りますが、
作家は、
何とストーカーを殴りつけます。

そして、
ストーカーをなじります。

お前らストーカーは
他人の不幸で食っている。

ここでは
お前らは王だ。

権力を使って
人の命を弄んで
楽しんでいやがるんだ。
偽善者め。

ストーカーは
泣きながら訴えます。

それは違います!

確かに私は
世間では
何もできないろくでなしです。

妻も幸せにできず
友達もない。

でも、
私と同じように
痛めつけられた人たちを
ここへ連れて来て
助けてあげることができる。
希望を与えることができるんです!

ストーカーの必死の声に
心を動かされたかのような
作家と教授。

教授は
爆破するのをやめ
爆弾を解体して
水の中に投げ捨てます。

しかし
作家も教授も
結局は「部屋」には入りませんでした。

 

3人は
ゾーンから帰ってきました。

家に帰ったストーカーは
妻に切々と訴えます。

彼ら(作家や教授)は
何も信じていない。

今回は、
全くの骨折り損だった!

いつまでも嘆きます。

 

ここで初めて見えるのですが、
部屋の中
彼の背後に
壁いっぱいの本棚があり
膨大な蔵書が置かれています。
どれも古くて重厚そうな書籍です。

一見して
不器用な労働者風に見えた彼は、
実は深い思索をする
人物だったのでしょうか。

映画では
何の説明もありません。

 

これを、
SF映画といっていいのか、
精神世界を描いた映画というべきか。

あるいは、
ごくありふれた
人間の迷いや欲求を、
あぶりだした映画なのか。

結局ゾーンの中では
はっきりとした
超常現象が起こったり
未知の生物が出てきたりという、
SFがかった出来事が一切ありません。

しかし、
ラストシーンで
生まれつき足が不自由な
ストーカーの娘のカットがあります。

ここで、
この映画初めての
驚くべき現象が映されます。

それは何か・・・
是非作品を見てください。

 

とにかく、
ゆったりした時間と
美しい映像と音に
2時間40分もの間、
どっぷり浸かることができます。

映画を見るというよりも
空間を体験している感覚に近いのではないかと思います。

時間に追いまくられている
私たちにとって
非常に貴重な体験です。

ただし、
普段から薄っぺらい説明だらけのテレビに慣れていると、
この映画、
どうしたらよいかわからないかもしれません (*^-^*)

極限まで説明を省いているので、
見たものをどうとらえたらよいか
戸惑うかもしれません。

素直に感じること。
自分なりに
イマジネーションを膨らませること。

脳内をリフレッシュして
活性化させ、
感性や集中力を研ぎ澄ますこと。

それと同時に、
ゆっくりと流れる時間に身をゆだねて
自分もその世界の一部になっていくこと。

「ストーカー」は
そんな映画だと思います。

僕に言わせると、
タルコフスキー作品は、
一度はまると抜けられない
一種の麻薬のような映画です。

 

 
 
 
 
 
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