ゴルゴ13はなぜ仕事を続けるのか?

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身長182cm、体重80kg。
東洋系の風貌だが、
国籍・年齢・本名全て不明。
通称:デューク東郷。
仕事達成率100%。
超A級のスナイパー(狙撃手)。

これは、
さいとう・たかを氏の劇画の主人公
ゴルゴ13」のプロフィールです。

 

さいとう・たかを氏は、
1936年生まれ。
日本の代表的な巨匠漫画家です。

「ゴルゴ13」の他にも、
「バロム・1」
「鬼平犯科帳」
「日本沈没」など、
数多くの有名な作品があります。

和歌山県に生まれて大阪府堺市に移り住み、
現在は、東京都中野区にオフィスを構え、
岩手県花巻市に在住しているそうです。
さいとう・プロダクション

子供の頃は、
ケンカと図工が得意な不良少年(本人曰く)で、ボクサーか画家になることが
将来の夢だったそうです。

それで、漫画家で成功したわけですね。

 

さて、「ゴルゴ13」こと「デューク東郷」とは、こんな人物です。

イデオロギーに縛られず、
世界をまたにかけたスナイパーとして
超プロフェッショナルな仕事をします。

彼に狙われたら、
アメリカ大統領でも助からないと言われています。(あくまでも漫画の世界です (^-^) )

彼の存在は、一般人には明かされず、
世界各国の首脳、政財界人、権力者、
軍人、警察、犯罪組織などが、
彼に恐怖と畏敬の念を抱きつつ、
その一流の腕を頼って狙撃を依頼します。

中には彼を始末しようとする者も現れますが、
結局は反撃されてやられてしまいます。

狙撃のターゲットは主に人間(命)ですが、
時にはその人物が身につけた装飾品だったり、
道具だったりします。

単に暗殺の遂行だけではなく、
人物に警告を発するなど、
その一撃によって、
暗黙のメッセージを伝えたりすることもあります。

 

彼のキャラクターは独特です。

無駄な会話をいっさいしません。
対話相手の無駄な言動も好みません。
何しろ、彼の台詞でよく出るのが、
「・・・」(沈黙)の吹き出しです(^-^)

喜怒哀楽の表現をほとんど出しません。

ビジネスライクで、時間厳守です。
時間を守らない相手とは
取引を中止することもあります。

また、
たとえ相手が依頼人だとしても、挨拶をしません。
無駄な挨拶はせずに、本題に入るのです。

相手を人種・性別・年齢、
あるいは身分などで、差別しません。

自分の協力者には、
予想外の高額な報酬を支払います。
これはたいていの場合、彼の秘密を漏らさないようにとの口止め料も入っています。

危険な世界にいるためか、
非常に用心深い性質を持っています。

相手と握手をしません。
これは、単に警戒するだけではなく、
「利き腕を相手にあずけるのを避ける」ためです。

音を立てずに彼の背後に立つと、
振り向いて撃退します。

自分のことを「うさぎのように臆病だ」
と語っています。

 

彼の狙撃の報酬ですが、
平均的には、20万ドル程度のようです。
この記事執筆時点で約2千万円です。

ただし、狙撃案件や依頼者の状況によって料金は様々で、
最高額では1億ドル(この記事執筆時点で約100億円)!
というケースもありました。

この案件は、イギリス海軍省からの依頼で、
フォークランド紛争情勢を左右する狙撃でした。

これだけの高額案件を
個人で多数請け負っているわけですから、
デューク東郷の資産は莫大だと想像しますよね。

その通り、
作品中で判明している彼の資産は、2兆円だそうです(●Д●)

スイス銀行に預けたり、
現金以外でも
物品で報酬を受け取ったケースもあるようです。(全部漫画の世界ですよ!(*^o^*)/)

 

これだけの資産があるのに、
一生何もせず遊んで暮らせる金があるのに、
なぜ彼は危険なミッションを続けるのでしょうか。

 

なぜデューク東郷は、仕事を続けるのでしょうか?

 

 
 
 
 
 
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いや、人気漫画で連載が続いているため、
作品中のゴルゴ13も
仕事を続けているだけなのですが (^-^:)

ただ、劇中ではとても低額な報酬で
依頼を遂行するケースもあります。

例えば、
ある少年から「メダルとわずかな紙幣」で依頼を請け負ったり。
ある少年からは「指輪ひとつ」で請け負ったケースもあります。

このような、
彼にしてみれば「ただ」同然の額で、
危険な「狙撃」という仕事を引き受けることもあるのです。

つまり、
全てが金銭がらみのビジネスではなく、
彼の中にある「ポリシー」によって動くこともあります。

その「ポリシー」とは、
いったいなんなのでしょうか。

作者のさいとう・たかを氏によると、
どうやらそれは「約束」のようです。

 

デューク東郷は、
「約束を守れない」ことがわかっている時には、仕事を断ります。

しかし、いったん依頼を引き受けたら、
どんなことがあっても遂行します。
だから「仕事達成率100%」なのです。
(ごく稀に、不発弾などの原因で狙撃に失敗したケースもありますが、後日仕事を完遂しています)

そして、
ただ同然の報酬であっても、
場合によっては狙撃を引き受ける。

ゴルゴ13は、
片や「殺人マシーン」の異名をとる
恐ろしい狙撃手ですが、

片や「人との約束」を非常に重要視して
生きているようです。

ですから、
もし彼を裏切ったり、
嘘をついていることがバレたときには、
その人物の命はありません。

 

このデューク東郷の性質は、
さいとう・たかを氏のポリシーでもあるようです。

たかを氏のポリシーとは、

漫画の原稿の締め切りを必ず守る。
(業界用語で言うと「落とさない」)

たかを氏自身が読者に対して
「面白い作品を届ける」と心で約束してしまったから、
勝手に連載を終えたりしない。

そして、漫画家として引退しない。
(この記事執筆時点で82歳です)

たかを氏はそういった「約束」をポリシーとして仕事している(生きている)そうです。

 

誰かから言われたわけではなく、
自分の中の約束」です。

 

実はこの「約束」には、
たかを氏の子供の頃の体験が影響しているそうです。

たかを氏は子供の頃、
前述の通り、ケンカが強く、
本人曰く「はみ出し者」だったそうです。

中学生の頃の彼は、
「学校のテストになど意味がない」と思って、
ずっと白紙で提出していたそうです。

すると、中学3年の時の担任にこう言われたそうです。

「テストを白紙で出すのは、君の意思だから構わない。
しかし、答案用紙を出すのは君の義務だから、その証明として、名前を書きなさい」

その先生の一言が、
たかを氏にとっては、
とてもショックだったそうです。

たかを氏はそのとき、
「ああ、約束事とはこういうことなんだ」
と思ったそうです。

そしてそれ以来、
「人間の約束と責任」を考えるようになったそうです。

その担任の先生の名は「東郷」でした。

そうです。
ゴルゴ13の「デューク東郷」という名前は、
この先生からとったのです。

 

我々も、日々「自分の中の約束」
を意識して、生きていますよね。

あれをしよう、これをしよう。
いつもこれを基準にして決断しよう。
こう思っています。

でもそれを、頑なに守り続けることも、
なかなか難しいものです。

時には周りに流され、
時にはうやむやにして、楽な方に流れていく。
誰もそれをとがめたりしませんから。

 

でもやはり立ち止まって、
自分の中の「約束」を見つめ直してみると、

困ったとき、迷ったとき、
どうしたらよいかと考えたとき、
自分の判断基準が明確になって、
以外とあっさり答えが出るかもしれません。

世の一流の人というのは、
自分の行動原理を大事にします。

それは「自分の中の約束」を守ることを、
大切にしているのかも知れません。

 

さいとう・たかを氏は、こう言っています。

「(引退どころか)私は休職もしませんよ。
勝手に引退して、
そのあとすることがなくなって不安を増大させるよりは、
「やれる間はやる」と覚悟を決めて、進んでいけばいい。
これはサラリーマンでも何でもそうでしょう。
やりたいようにやればいい」

子供時代と同じように、
80代にして、いまだに弾けた人、潔い人ですね!
カッコいいです。

(ゴルゴ13への考察内容、および、さいとう・たかを氏のコメント・インタビュー内容は、小学館・NEWSポストセブンから抜粋・引用。メルマガ用に調整しています)

 

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